「ボロボロになったバイオリンでも、風音さんは持って来た。大切にして、それを奏でようとしていた。けど能恵さんは、それを壊しましたよね」
「うん」
「思わなかったんですか。躊躇いとか、そんな、感情……」
「無い」
完成しかけの折り紙をぴたりと止めて、そして能恵ははっきり言った。
「仕事だから」
「……仕事って。でも、仕事だからって」
「そういう仕事なのよ、そえ。いちいち感情移入していたらとてもじゃ無いけど耐えられない。私なりに割り切った上で、だからこそ物事が、私の望むような結末を迎えるようにコントロールするの。それが私の仕事」
「だからって……」
「折り紙の途中で感情を入れれば、作品は完成しないのよ」
指先に力を込めると、その折り紙は呆気なくひしゃげてしまった。能恵の手によって産まれかけていた命。完成へと歩んでいた命は、消えてごみ箱へ投げられた。
「そういうことよ、そえ」
「俺が言いたいのは」
ガタリと椅子から立ち上がって、強い目線を能恵に叩き込む。能恵はそれから目を逸らさない。そういう人なのだ、彼女は。
「うん」
「思わなかったんですか。躊躇いとか、そんな、感情……」
「無い」
完成しかけの折り紙をぴたりと止めて、そして能恵ははっきり言った。
「仕事だから」
「……仕事って。でも、仕事だからって」
「そういう仕事なのよ、そえ。いちいち感情移入していたらとてもじゃ無いけど耐えられない。私なりに割り切った上で、だからこそ物事が、私の望むような結末を迎えるようにコントロールするの。それが私の仕事」
「だからって……」
「折り紙の途中で感情を入れれば、作品は完成しないのよ」
指先に力を込めると、その折り紙は呆気なくひしゃげてしまった。能恵の手によって産まれかけていた命。完成へと歩んでいた命は、消えてごみ箱へ投げられた。
「そういうことよ、そえ」
「俺が言いたいのは」
ガタリと椅子から立ち上がって、強い目線を能恵に叩き込む。能恵はそれから目を逸らさない。そういう人なのだ、彼女は。
