タレントアビリティ

「こういう時だけ親ヅラしないで」
「……走馬?」
「これはボクの問題だし、ボクの生活に関与しないって母さんが決めたんでしょ。責任は取るし、だからもう帰って」
「あなた、何を……」
「帰れって言ったんだよっ!」

 ガタン、と。椅子を倒しながら立ち上がった走馬が母親をきつく睨みながら叫ぶ。万引きが見つかってここに連行された時よりも緊張した空気が、ピンと張り詰めた。

「何なんだよ! ボクを日頃はふらふらさせといて、お金だって満足にくれないのに、こーいう時だけいいツラしてさぁ! だいたい母さん、ボクをそんな大切に見てるわけないでしょ!」
「……走馬」
「分かるんだよ! ボクはもう中二だ! ガキじゃないんだ! お金だってどんな手段でも稼ぐ! 今日だって……。今日だってそうだ! このまま逃げ切ってあれ売ればしばらく生きてけるんだ! ナメんなよ母さん! ボクはガキじゃ……」
「ガキだろ?」

 事務員さんも店員も、走馬も母親もそちらを振り向いた。視線が注がれているのが誰なのか、それは添がよく分かる。
 そして添もまた、その方向を見ていた。まるで最初からそこに立っていたかのように、毅然とふわりと立つ彼女。

「ガキでしょう? 何も知らない、ただの」

 純白能恵が立っていた。