走馬の母親らしき人が訪ねたのは、それから20分ほどの話だった。事務室に入って来たのは綺麗な女性。というより何より何より、若い。
「この度は、ご迷惑おかけしました」
「……すみません」
母親が頭を垂れるのを横で見た走馬もつられて頭を下げる。はあと大きな溜め息をついた事務員さんが、「あのねぇ」と仰々しく切り出す。
「こういう言い方も何だけどね、盗むものを考えてほしいよ。なんで指輪かな? 年頃の男なら、マンガとかゲームソフトとか、そういうもののはずなのに……」
「申し訳ございませんでした。後できつく言っておきますので、何とぞ、今日のところは……」
「そうは問屋が卸さないんだよね。きちんと学校には連絡するから、お母さん、息子さんの学校を教えてくださいませんか?」
「通わせていません」
走馬の母親が毅然として言った。走馬とどこと無く似た顔付きだけれどどこか幼く、その雰囲気は能恵に似ているよう。
「そういう教育方針ですから……」
「いやでもねぇ、奥さん。中学は義務教育ですよ?」
「……存じております。ですが私は、息子に教育を受けさせる予定はございませんし、その上走馬も、それを受諾しておりますから」
「いやいやそうだとしても」
「母さん」
母親が現れてから走馬は初めて声を上げた。膝の上で拳をきつくにぎりしめて、そしてきつい目線で母親に言う。
「この度は、ご迷惑おかけしました」
「……すみません」
母親が頭を垂れるのを横で見た走馬もつられて頭を下げる。はあと大きな溜め息をついた事務員さんが、「あのねぇ」と仰々しく切り出す。
「こういう言い方も何だけどね、盗むものを考えてほしいよ。なんで指輪かな? 年頃の男なら、マンガとかゲームソフトとか、そういうもののはずなのに……」
「申し訳ございませんでした。後できつく言っておきますので、何とぞ、今日のところは……」
「そうは問屋が卸さないんだよね。きちんと学校には連絡するから、お母さん、息子さんの学校を教えてくださいませんか?」
「通わせていません」
走馬の母親が毅然として言った。走馬とどこと無く似た顔付きだけれどどこか幼く、その雰囲気は能恵に似ているよう。
「そういう教育方針ですから……」
「いやでもねぇ、奥さん。中学は義務教育ですよ?」
「……存じております。ですが私は、息子に教育を受けさせる予定はございませんし、その上走馬も、それを受諾しておりますから」
「いやいやそうだとしても」
「母さん」
母親が現れてから走馬は初めて声を上げた。膝の上で拳をきつくにぎりしめて、そしてきつい目線で母親に言う。
