タレントアビリティ

『いかがしましょう、空白そAさん』
『これは逃げるしかないでしょう、空白そBさん』
『しかし助けるのが本性ではないのでしょうか、空白そCさん』
『じゃあいっそ楽に、両方同時にやってのけるというのは?』
『そんな才能ありますか?』
『無い無い』

 脳内会議おしまい。つまりは時間を無駄に過ごしただけに終わり、背中にはもう走馬が迫ってくる雰囲気が漂う。どうすべきかだなんて、とりあえず。

「第六感!」

 無意識に添がとった行動は、とりあえずにその場ジャンプだった。跳んでいる間に気付く。何をしているんだろうか……。

「わわっ! うわわわっ!」

 が、そのジャンプに巻き込まれたのは走馬だった。添を飛び越えようと思ったのか踏み込んでいた時に対象物の高さが変わる。踏み込みを無理矢理ずらさねばならなくなった走馬の中で力のベクトルがおかしい事になって。
 結果、走馬はその場で思い切りこけた。指輪がごたごたとついた手がショッピングモールの床に零れる。

 走馬が店員達に押さえ付けられたのは、その直後だった。