タレントアビリティ

「おー、当たり?」
「わかんねーよ。ただ、ハズレじゃないかもな、それ」
「まあねぇ……。ボクあの姉ちゃんに殺されかけたけど。多分同じ事を兄ちゃんに言ってたら、ボクはどうなったんだろうね?」
「あ……。俺は能恵さんみたく、あんなありえないやり方はしないって」
「あたえ、さん?」
「あの人の名前。才能の『能』に『恵』って書いてあたえ。名前そのまんまだよ、走馬」
「才能に恵まれてるんだ」

 走馬も鉄棒から下りて、座り込む添の隣に座って言った。走馬の答えに添は、違う、とだけ答える。

「恵まれ『過ぎ』てるんだと思うよ」
「……どして?」
「それは分からないな……。ただほら、分かる」
「兄ちゃんの言葉の意味が分からない」
「何と無く分かれ」
「何と無く分かる、多分」
「まあ、能恵さんは恵まれ過ぎてるよ、才能に。あの人の手に掛かれば世界も滅ぶ」
「ええっ!?」
「これはマジだ。あの人はもう才能のカタマリだから……。だから走馬が殺されなかったのも、多分奇跡だよ」
「……こっわぁ」

 初めて声の調子を下げた走馬だった。添は構わずに続けていく。能恵の姿を知ってもらえればそれはそれで効果的ではあったのだが、予想以上に効果的。