「居場所が無い? そんな事はないでしょう!」
「うるっせーんだよお前! だいたいボクはそうなんだ! 父さんも母さんもボクを相手にしない! いたって意味が無い!」
「それを自分で言うから許せないのよ! 自己の存在を否定するなんて、あなた、ふざけないで!!」
「だいたいお前に何が分かるってんだよ!」
「あなたにあなたの何が分かるってのよ!!」
最後のほうが裏返っていた。しばしの沈黙が荒れた部屋を包む。添はそれを黙って見ている。真っ二つの意見が真っ向にぶつかり合って、それでいてお互いの正しさをぶつけ合う。
「……もういいや、うん」
「いいえよくないわ。私はあなたを許さない」
「お前がボクを許さなくたって、ボクはボクだ。愛されない息子の立場が、お前なんかに分かるかよ」
「分からないわよ。でも私は、あなたが間違っている事を分かる。自己否定なんて、間違い以外の何物でもない。自身の才能を、否定しないで」
「もういい。……お邪魔しました」
それはぱったりと、走馬が燃え尽きて終わってしまった。何かをそれこそ、直感的に、悟ってしまった走馬の言葉。無茶苦茶に荒れ果てた自分達の居住空間に言及する事なく立ち上がる。首にはまだ、能恵の手形が残っていた。
「おい走馬」
「……もういいよ、もういい。お前もお前も、意味分かんね。何も知らないくせに、なんだよ」
「何も知らないから何か知ろうとしてるんだよ、能恵さんは」
「ふーん」
興味は無いとばかりに茶の間を後にして出ていく走馬。俯いたまま座り込むだけの能恵。やっぱりどこか分からないけど、何かが分かったような添。
バタン、と扉が閉まる。訪れた静寂。割れたちゃぶ台。何だか酷く疲れた、気がした。
「うるっせーんだよお前! だいたいボクはそうなんだ! 父さんも母さんもボクを相手にしない! いたって意味が無い!」
「それを自分で言うから許せないのよ! 自己の存在を否定するなんて、あなた、ふざけないで!!」
「だいたいお前に何が分かるってんだよ!」
「あなたにあなたの何が分かるってのよ!!」
最後のほうが裏返っていた。しばしの沈黙が荒れた部屋を包む。添はそれを黙って見ている。真っ二つの意見が真っ向にぶつかり合って、それでいてお互いの正しさをぶつけ合う。
「……もういいや、うん」
「いいえよくないわ。私はあなたを許さない」
「お前がボクを許さなくたって、ボクはボクだ。愛されない息子の立場が、お前なんかに分かるかよ」
「分からないわよ。でも私は、あなたが間違っている事を分かる。自己否定なんて、間違い以外の何物でもない。自身の才能を、否定しないで」
「もういい。……お邪魔しました」
それはぱったりと、走馬が燃え尽きて終わってしまった。何かをそれこそ、直感的に、悟ってしまった走馬の言葉。無茶苦茶に荒れ果てた自分達の居住空間に言及する事なく立ち上がる。首にはまだ、能恵の手形が残っていた。
「おい走馬」
「……もういいよ、もういい。お前もお前も、意味分かんね。何も知らないくせに、なんだよ」
「何も知らないから何か知ろうとしてるんだよ、能恵さんは」
「ふーん」
興味は無いとばかりに茶の間を後にして出ていく走馬。俯いたまま座り込むだけの能恵。やっぱりどこか分からないけど、何かが分かったような添。
バタン、と扉が閉まる。訪れた静寂。割れたちゃぶ台。何だか酷く疲れた、気がした。
