タレントアビリティ

「ゴメンね。でも私、走馬に怒ってる」

 腹部を押さえてうずくまる添の頭を撫でて、それから座る走馬の前に立つ能恵。チリチリと感じる怒りは電気みたいで、ここにいても感電してしまうようで。
 能恵が怒っている理由が、けれど添には分からない。きっと感電しても分からない、能恵が言葉にするまでは。

「なんだよ……」
「怒ってる。あなたは他人だけど、私はあなたを許さない」
「意味がわかんねーよ! ……実際そうだから、仕方ねーじゃねーか……」
「それでもそんな事を言ったあなたを、私は許せないって言っているのよね」
「そ……、ま」

 無理して声を出す。添のそんなか細い声に反応した両者が同時に振り返った。

「お前……。何を言ったんだよ……。能恵さんでもいい、教えて、くれ……」
「マジで何と無くだったんだぜ? ただそこのねーちゃんが『家には帰ってないの?』みたいの事言ったから、ボクは『べっつにあの家に居場所なんて無いし』って……」
「それが許せないって言ったのよ私は!」

 能恵の叫びと添のため息が同調した。ああ、それなら怒るのも仕方ないし、殺されかけるのも仕方ない。そういう人だ、純白能恵という才能人は。