「そうなんだ……」 凜久くんに、ヨウくん。 初めてふたりの名前を知った日。 「凜久って呼んでよ」 「……へっ?」 急な凜久くんからの指令に…… 「僕は瑠璃って呼ぶから……あ、それとも……先輩って付けた方がいい?」 今考えれば、あれは凜久のひとつの作戦だったのかな。 私の性格上、“先輩”なんて付けられて呼ばれるのは なんだか恥ずかしいし、くすぐったい。 だとしたら…… 残る選択肢は、 「ううん……名前、で…」 ひとつ、だけ。