渡しそびれていた“大事な情報”がそこには入っている。
 
コレを渡すと、もう組織へは戻れない。
 
その覚悟はとっくに出来ていたし、

これを渡すことを渋る気もなかった。
 
それでも、渡せと急かされないことを理由に、

何となく身に付けたまま持っていた。

「遅くなってごめん、これ」
 
差し出されたスクセの手の平にピアスを落とす。