と、建物の四階部分の空洞の窓に、

影がちらついた。
 
意識を集中して見ると、グレーの服を着た男が、

銃を構えてこちらに向けている。

頭に無造作に巻きつけた布の間から、黒髪がこぼれている。

黒髪・・・

ということは、能力者じゃない。
 
直接こちらが見えているわけではないのだ。
 
男は双眼鏡を手にしている。
 
リャウカの位置を確認しながら、撃ってきているのだ。
 
彼が能力者であろうがなかろうが、動けないことに変わりはない。
 
こちらの銃も当たる距離ではないし。