手のひらの終焉

テントの入り口をめくって中に入ろうとすると、

スクセがアモーレに手当てされているのが見えた。

おなかを刺されたらしい。
 
リャウカが一人で戻ってきたことを見て取ると、

スクセの眼に怒りが灯った。
 
怒れるくらいだから、命に別状はないようだ。

「悪いね。相手はジープで逃げた。

リャウドはいる?」

「外よ。まだ火の傍にいるわ」
 
アモーレが静かに言った。
 
スクセの怒りを感じて、声には出さないけれど、

リャウカに同情してくれている。
 
リャウカがそのまま追いかけなかったのは、

正しい選択だと知っているから。

 
スクセはそうじゃないけれど。