それにむせながら立ち止まると、


数メートル向こうで、車のエンジンがかかる音がした。
 
見ると、逃げていたヤツとマモウルを積み込みながら、

ジープが走り去りだした。
 
こんな傍まで車が来ていたのに、気付かなかったなんて。
 
再び走り出そうとして、砂に足をとられて、思い切りよく転んだ。
 
ジープの走り去っていく影を眼で追いながら、

ゆっくりと起き上がる。

夜とはいえ、暑い砂漠に変わりはない。
 
水も持たずに追いかけるのは無謀でしかない。
 
リャウカは諦めてテントへ引き返した。
 
ジープなら、走り去った痕跡を、しっかり残してくれている。

砂嵐でも起きない限り、後から追いかけるのは訳ないだろう。