~Snow White~『ニ巻』

「ありがとう、話してくれて。
そういうことだったなら
俺頑張れる。
利香の病気を治すのは
俺だから・・・・・。」



「だって・・・・」
思いもよらない
竜平の言葉と頬を包む大きな手



甘えてしまいたくなる
でもまだ・・・
中絶の話が残っていた



「あ…待って…
まだ………」



その瞬間竜平が唇をふさいだ。



「もう言うな。
なんでも話すのがいいわけじゃない。
ここまで話してくれたら
俺はもういい。
こんなにおまえが
悲しそうなのに
まだ悲しくさせる真実なんて
忘れた方がいいんだ。
俺、待つよ。
利香の傷を治すのは俺以外
絶対ない。
他の男には絶対触らせない。」


波の音と船のエンジンの音より
大きな声で


「愛してるから」
竜平ははっきり叫んだ。