~Snow White~『ニ巻』

「また、来ような。」

帰りの船で竜平が言った。


「竜ちゃん……話があるんだ。」


「え?」


利香の心臓は張り裂けそうだった。


「もう終わりにしないと……」

竜平はその言葉に首をかしげた。


「なんで?」

あの悲しい顔の訳がやっとわかった。


「だって…竜ちゃんを悲しませてる。」


「何言ってんだよ。
やめろよ、それだけの男じゃないよ。」


「だって…大好きな人を
失望させてるもん。」



「別にできないことが
辛いわけじゃない。
利香が俺のことを怯えた目で
見るからさ・・・・
それがちょっと辛いだけだ。」


「大好きな人に触れられたら
ふつうの女の人は
胸がときめくのに
私は違うの・・・・・・・。
怖くなるの・・・・・・。
いろんなこと隠して生きてるから。」


竜平は背中に冷たい汗をかいた。