~Snow White~『ニ巻』

利香は首を振った。


「今はまだ・・・雪湖を混乱させたくないし
竜にも後ろめたい気持ちで
雪湖を引き取ってほしくないの。
夏絵さんの手前もあるし
雪湖が竜の子だってわかったら
辛くあたられるかもしれないから
18になった日に
竜と雪湖に宛てに手紙を渡してほしいって
お願いできるかしら。」



「その時でいいのか?
本当のこと……言うのは……」




「雪湖には、わかってほしいから。
私の生き方と雪湖の人生を
照らし合わせてほしい……
優しいパパの笑顔だけを
雪湖のパパだと思わせていたい。」



洋平は涙ぐんだ。



「俺は雪湖の父親だって
ずっとそう思ってきたよ。
愛おしくて仕方がない。
俺の宝物だったよ。」




「ありがと、
私にはあなたと雪湖が宝物だったわ。」



涙で濡れた唇で
キスをした。