~Snow White~『ニ巻』

「洋ちゃん、これからは
一緒に考えようね。
一人で悩まないで…抱えこまないで。」


「利香がいればいい。」



「兄はなんて言ったの?」



「・・・利香を俺に返してくれれば
助けてやるって……。」



「やっぱり……」



「利香がいなくなったら頑張る意味もない。
だから後悔した
電話なんかしなきゃよかったって。」



「私は贅沢なんてしなくていい。
三人で一緒にご飯が食べられたら
それでいいの。
ここ……売らない?
小さいアパートでもいいし
私も働くから
洋平がいてくれたらいい
二人で働いたら
頑張れるから。」




「竜平と一緒にいたら
こんなことになんなかったな。」



「そんなこと言わないで。
彼には家庭があるから・・・
それに私は洋平を愛してるわ。
あなたのためなら何でもできる。」

洋平は肩を震わした。