~Snow White~『ニ巻』

酔っ払って帰ってきた洋平が
玄関で座りこんだ。


「洋ちゃん・・・・
大丈夫?」



「情けない・・・。
何してんだろ、俺・・・・。
ごめんな、利香・・・・
俺さ…実は………謝らないと……
なのにこんなに酔っ払って……
情けないな………。」



「話して……
あなたの辛いこと
半分でも引き受けたいの。」




「おにいさんに電話して
金を貸してっていったんだ。
会社うまくいってないんだ。
スタッフに払う金もなくて……
ごめん……
ほんとごめん……
急ぎすぎたんだ。
竜平に負けたくなかった……
あいつを見返したかったんだ。
利香をあいつと一緒にいるより
幸せにしたかった……
俺だって竜平みたいに社長って呼ばれたかった。
同じ顔して同じ家に生まれたのに
なんでも持ってるあいつに
必要とされなかった俺が
いつか絶対、竜を見返してやるって
それだけで生きてきたんだ……」


頭を抱えて丸くなった。


「俺はだめな男だな。
せっかくつかんだ幸せを
自分のふがいなさで……
ごめん、ほんとにごめん……
恥ずかしくて死にたいくらいだ……
利香にだけは情けないとこ
みせたくなかったのに……」


利香は洋平を抱きしめた。