~Snow White~『ニ巻』

洋平は仕事に没頭する日が続いた。


「パパ今日も遅いの?」



「そうね。」



「もうずっと会ってないよ。
お仕事大変なんだね。」



利香も洋平とあまり話しをする時間がなく
体の心配をしていた。


仕事の規模を広げたと聞いたのは
それからしばらくしてからだった。

スタッフの数も増やして
洋平は何かにとりつかれたように
仕事に熱中していたが

利香は不安だった。


そんなある日
恐れていたことが起きた。



家の電話が鳴ったのは
利香が夕飯の支度を始めた頃だった。



「大柴でございます。」



「利香?」
電話の向こう側にいるのは
稔だった。