~Snow White~『ニ巻』

「利香、また仕事が入ってきたんだ。
なんだか怖いくらい順調だからさ
スタッフが足りないくらいだよ。
小さいけど俺だって社長だよ。
大きい会社の社長には
なれなかったけど………
ここは俺のプライドと誇りの会社だ。
利香がそばにいてくれるようになって
俺はほんとついてる。
夢ならさめないでくれってさ~」



洋平は熱く語った。


まさかそれが稔の仕業だなんて
口がさけても言えない。



「頑張ってね。」


洋平を抱きしめた。


 ごめんね・・・・ゆるしてね・・・



「今日は利香なんか変じゃないか?」



利香は動揺を隠した。

「朝から少しすぐれなかったの~」


「具合悪いのか?」


「大丈夫、洋平の笑顔見たら治ったよ。」


「じゃあ、もっと完治させてあげようか?」



「やーね~洋ちゃんったら。」


いつものように洋平に抱かれる。
昨日まではその幸せに酔いしれていた。

 今夜からは悪魔を振り払うように
 必死に洋平にしがみつくんだ



洋平に嘘をつく日々が始まった。