「いた・・・っ!!」
利香が言ったから
洋平は驚いて手を離した。


「どうした?」



「チビが蹴った。」



利香が洋平の肩に頭を乗せた。


「昨日、チビがあれから動かなかったの。
きっとお腹が冷たさで収縮してしまったんだって
申し訳ない気持ちだったけどね
洋ちゃんが抱きしめて
一緒に眠ってからしばらくして
ゴニョ・・・ゴニョ・・・って
動き出したの。
洋ちゃんの温かさできっとチビも
元気になったのね。」


「そっか~よかった!!」
洋平は笑った。


「ね?名前決めたわ。」


「何?いきなり、もう決まったのか?」


「うん、ゆきこ・・・
雪の湖って書いて 雪湖 ・・・」


「雪湖か………。
いい名前だな~この湖のようにって?」


「それもあるけど
愛する人に最後は
抱きしめてもらえますように…。
この雪の湖で私が洋ちゃんに抱きしめられたように
愛する人に出会えますように……。
昨日までの私が嘘のようなの。
図々しいけど……幸せになりたいって
そう思っていい?」


「もちろんだよ。
俺と利香と雪湖はいつまでも一緒だよ。」


やっと辿り着いた
本当の愛に利香は安らぎと
温かい未来を想像していた。


「ずっと三人・・・一緒だよ・・・・・」


その年の冬・・・・・


大柴 雪湖 は誕生した。

安らかな愛に守られて・・・・・・。