~Snow White~『ニ巻』

「やめて・・・・・」



利香はそう言いながらも
体を離さなかった。



「利香・・・・ごめん・・・・」



「いいの・・・・
私も竜とは別れなくちゃって
ずっと思ってたけど言えなかったから・・・
辛かったけど
もう大丈夫だから・・・・
仕事も楽しいし
安心して・・・・・・
兄のことではごめんなさい。
おじさまも突然だったんですってね。」



「利香・・・いいんだ
そんなこと・・・・
だけど幸せなのか?今・・・?」


利香は静かに体を離した。


「ええ・・・
幸せだから安心して・・・・。
会わなかったことにしてね。
せっかく忘れたのに・・・・
もう声をかけないでね。」


利香は去って行った。



追い掛けて抱きしめたい衝動をおさえた


追いかけたら
それからどうする?


「もう離さない」
そんなこと言える立場じゃない・・・・


抱きしめたぬくもりに
心の片隅に眠っていた想いが
炎となって燃え始めた・・・・・