~Snow White~『ニ巻』

先生が立ちあがって、

「遠いところ御苦労さまです。」
といった。


次の瞬間
利香は地獄におとされた・・・・


「すみません、道路が思ったより
混んでまして遅れてしまいました。」


そう言って入ってきたのは
稔だった・・・・・。


「兄の大槻 稔といいます。
妹がお世話になっております。
なかなかこっちに来られずに……
申し訳ありません。」


スーツを着こなし
がっちりとした体形はまるで
スーツの広告のようだった。


「葬式以来だな、元気そうだね。」
そう言って利香を見た。


鳥肌がたった。


「妹から話しは聞きましたが
うちとしては就職はさせません。
大学進学ということと
それから大学は東京の大学にさせたいと
今日はお願いに参りました。」


「東京って・・・」
利香は稔を睨みつけた。



「学期ごとに送ってもらってる
通知表を知り合いの塾の講師に
見せて相談していたんです。
父も亡くなって、母が一人です。
今日も体調が悪いといって、今朝
入院させました。」


利香は立ち上がった。

「にゅ…入院?」