──ブロロロ──────
────ブロロロ─


俺はこずえ先生の運転する車の助手席にいた。
教室でケガをした俺を病院まで連れて行ってくれて、今その帰りなのだ。


「先生、ごめんなさい」

「ん?なにが?
あぁ〜水槽割ったこと?あれは事故だったんでしょ〜?気にすることないよ」

先生は明るくそう言った。


「10針縫ったんだって?
う、先生、血とか怖くて全然ダメ!。綾野くんはやっぱり男の子なんだね、平気な顔してる」


いつもよりも20%ぐらいテンションが上がってる感じだ。
しょげかえっている俺に気を使ってくれてるんだろう。

でも、受け持ちの生徒が自分の教室でケガをすれば担任教師の責任問題になる──


20年前には気付きもしなかったけど、今ならわかる。
だから余計に申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。


それに、この左手。このケガ。

以前とは違う原因だったけど、同じ場所に同じように傷がついた。



と、いうことは………