ドンッ!

走り回っていたクラスメートにぶつかられ、俺の身体は弾き飛ばされた。
そして窓際に置かれた水槽へ…

ガッシャーン!

「キャーッ」


水槽が床に落ちて割れる音と女子の悲鳴。
一瞬で教室内が騒然となる。

「わあっ!ヨッチャンごめん!大丈夫?」

ぶつかった子が心配そうに覗き込む。


「おぉ、大丈夫大丈夫!」

とりあえず返事を返しながら倒れた身体を起こしかけた。

秋にスズムシを飼っていた水槽らしく、水は入っていなかった。幸い濡れずにすんだ───あれ?なんか濡れてる?


「ヒッ!ヨシツネくん!手っ!!」

マイちゃんの悲痛な声にうながされ、俺は自分の手を見た。

すると俺の左手首から、真っ赤な鮮血がドボドボと滴り落ちていた。