城山マイだ!

俺に話し掛けてきた。


「えっ?あっ、いやっ!べっ、別に」


ええい!何をうろたえているんだ、俺は。
この世界ではまだ彼女を殺していないんだから、やましいことなんてないじゃないか!

そうさ!堂々としてろ!


「別になんでもないよ。
ただみんな、無邪気で元気だなーって」


走りまわる子、大声で話す子。
子供はまるで無限のエネルギーを持ってるかのように活動的だ。

彼女も俺の視線の先を見る。
そして軽く吹き出した。


「フフッ、ヨシツネくんたら、おじさんみたいなこと言うんだから」

そう言って笑った。


おじさんか…中身はたしかにそうだけどな。

俺にもあんな無邪気なころがあったんだよなぁ…

と、自分の左手を見ながら思った。


まだ傷ひとつついていない俺の左手…。