「ヨッチャン、何ブツブツ言ってんの?」


隣の席のひろゆきに不審がられながらも、ひとりで小さくガッツポーズをしたときだった。

ガラガラと、遠慮がちに教室の後ろのドアが開かれた。
クラス中が一斉にそちらを向く。

そこに立っていたのは、ひとりの少女だった。

──見覚えのない美少女。


「すいません、遅れました」


美少女がちょこんと頭を下げた。


「城山さん、また?
しょうがないわね。さ、席について」

「ハイ」


先生は少し困った顔を見せただけで、特に叱りはしなかった。
城山……しろやま…あんな子いたっけ?


「転校生?」

ひろゆきに聞いてみた。

「え?誰が?」

キョトンとされた。


「先生!
どうして城山マイさんだけ遅刻してもおとがめなしなんですか!?
えこひいきだと思います!」