異色であるシャレンの買い取りは、なかなか決まらない。

つまり買い取りが決まったのは、めったにない巡り合わせなのだ。


だから今日、私は念入りに体の隅から隅まで手入れをされ、いつになく派手なドレスを身につけされている。



「絶対に気に入ってもらえ、シャレン。
それがお前の仕事なんだ」



主人が前を歩きながら言った。

シャレンは機械的に「はい」と返事をし、微かに目を伏せる。



買い取られた後、16になったばかりのシャレンでも自分がどうなるか知っていた。

相手はきっと、50代を過ぎた変態な親父で、私は娼婦のように扱われる。

もともと、女の奴隷の行く末はそんなものだと昔から決まっていた。


何もかも女は男から見下げられる。


いつしか誰もがそれを常識と捉えていた。



シャレンはそんなセカイが憎く、常日頃滅びればいいと思っていた。


幼い頃の遠の昔に心は朽ち果てたと思っていたが、シャレンの中ではここから逃げたいという想いだけは消えなかった。



だから今日、首枷を外され、少しの自由を許されたこの日に、隙を狙って逃げ出そうと考えていた。