それから急に体に浮遊感を感じて、はっとする。

何事かと思って思考を巡らすと、自分が大きなベットに投げ出されたのだとわかった。



「伯爵様…?」



控え目に呼ぶとベットに腰掛けている伯爵が表情のない顔で私を見ていた。

私はとりあえず起き上がろうと思って、体を起こそうと思ったけど、それは叶わなかった。



私の手首を伯爵が強く掴んで、私は再びベットに沈められた。



衝撃でつぶった瞼を開けると、すぐ傍に金色と藤色が見える。



「君が、いけないんだよ」



伯爵は一言そう言って、私に口づけをした。



嗚呼。そういうことなんだ。



突然の口づけに驚きながらも、私は受け入れるようにそう思った。


長い口づけに少し息苦しくなって空けた私の口の中に、伯爵は躊躇いもなく熱い舌を入れた。



「…はっ……」



余計に息苦しくなった。

ただ私に抵抗するなんて選択はなくて、されるがままにした。



自分の咥内で動く舌が発てる音が、妙に妖艶さがあった。

このまま酔いしれてもいいかもしれない、と不覚にもそう思った。



奴隷として行きた中で、こういう状況は何度か経験してきたけど、伯爵は他の男と何かが違う気がした。