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ノグラース家本邸、ノグラース城。
王城程ではないが充分立派で豪華なそこの一番広く豪華な部屋に、シャレンの姿があった。
天蓋つきの大きなベットに、膝を抱えて自分を極力小さくしているシャレンは気が動転していた。
本当だったら今頃、逃げ出していたのに。
なのに逃げる手前で、藤色の瞳に捕らわれて。
(情け、ない)
やっぱり所詮は、奴隷なんだ。
いつの間にか私は、人に隷従するようになっている。
「……くっ」
そしてその虚しさは、私の目から雫になって滴る。
目を瞑った先には麗美な顔を思い出す。
(レイシア・ライル・ノグラース伯爵…)
底の深い瞳は全くもって意図を読めない。
私を拾ったのは、彼の気まぐれなのか……
―――それとも、

