獅堂先輩に背中をぽんっと叩かれ
少し前に動いたあたしの体。
そのまま棒立ちのあたし。
顔もあげられない。
「…どうしてですか?」
気付いたら、
無意識のうちに口が動いていた。
「先輩はこんな人じゃ…」
「何を知ってるの?」
冷たい声。
「未央ちゃんは、
俺の何を知ってるの?」
ゆっくり顔をあげると、
見たことの無い冷たい表情の先輩と
目が合った。
「なんでここにいるか知らないけどさ、
邪魔しないでくれる?」
「…邪魔だとさ、ほら行くぞ」
そう言って
あたしの腕を掴んだ獅堂先輩の手を
振り払った。
「昨日、
どうしてあたしとデートしたんですか?」
「デート?あれデートだったの?」
緩んでたネクタイを締めなおし、
服装を整えだした植野先輩。
「じゃあ…キスは…」



