…あれ?今確かに獅堂先輩の声が…。
「どこ見てんだバカ」
上から声が聞こえていることに気付いて
顔をあげると、
獅堂先輩がVIPルームの窓から
あたしを見下ろしていた。
「遅えんだよ、早く中入れ」
「あ…」
戸惑いながら
講堂の裏の方へ視線をうつした。
植野先輩…。
「何やってんだよ、さっさと…」
「ごめんなさい!!」
勢いよく頭を下げ、
講堂の裏へ足を向けた。
「おい!!!」
先輩の声を背中に感じながらも
振り返らず植野先輩を追いかける。
植野先輩は今朝と同じように
裏庭の奥へと進んでいく。
先輩が足を止めた場所は…あの倉庫。
扉を開けると、
今朝と同じように女の人が出てきた。
けど、今朝とは違う人…。
すごく真面目そうで、
リボンの色は見えないけど
制服のデザインを見る限り
Ⅱ類の人だということは分かる。



