君に染まる(前編)



そう言うと、
あたしをかついで歩き出した。










「なんなんですか!?」



誰もいない非常階段に連れてこられた
あたしは、
降ろされた瞬間声をあげる。



「俺のこと拒んどいて
あんな奴に愛想ふりまいてんじゃねぇよ」



愛想なんてふりまいてないけど…。



「まだこりてねぇんだな…
あいつはお前の思ってるような
奴じゃねぇって言っただろ」



「そんなこと…
獅堂先輩に言われたくありません」



「…まじバカ」



そう言うと、
あたしのあごを掴み
くいっと上を向かせた。



「よく見ろ、俺の顔」



…え?



「あいつとどっちがかっこいい?」



「…は?」



「どっちがイケてる?輝いてる?」



頭がついていけないあたしをよそに、



「間違いなく俺だろ!」