だ…だめ!!
心の中でそう叫んだあたしは、
堀河さんをかばうように体をずらした。
目の前に迫ってくる先輩の拳。
反射的に目をつぶった瞬間、
頭に拳がコツンと当たった。
あ…。
とっさにスピードを緩めてくれたのか
それほど痛くは無かったけど、
全身の力が一気に抜けた。
へなへなとその場に座りこんだあたしに
先輩が口を開いた。
「…なんでかばうんだよ」
声を出すことが出来ず、
無言のままゆっくりと顔を上げる。
え…。
顔を上げたあたしの目に映ったのは
想像もしてなかった先輩の表情。
なんで…そんな顔して…。
「先輩…」
「もういい」
立ち上がったあたしから顔をそらす。
「まじうぜぇ…なんなんだよお前…」
「え…」
「なんで俺ばっかり…」



