あたしを呼ぶ低い声。
おそるおそる顔を上げると、
鋭い視線とぶつかった。
「誰だコイツ」
「…え」
「コイツは誰だって聞いてんだよ」
…なんで先輩怒ってるの?
そんなことが頭の中を駆け巡り
質問に答えられないでいると、
先輩は堀河さんに視線をうつした。
「お前、俺の女に何してんだよ」
「え…何って…何?」
「とぼけんな!!
未央にキスしてただろ!!!」
店内に響いた先輩の声。
…………。
「「え?」」
ピッタリとそろった
あたしと堀河さんの声に
先輩の機嫌はますます悪くなる。
「…俺の女に手ぇ出すなんていい度胸だ。
覚悟は出来てんだろうな」
「やっ…ちょっと待って…
ってか、君、未央ちゃんの彼氏?」
「ぐだぐだうるせぇんだよっ!!」
先輩が勢いよく拳を振り上げる。



