君に染まる(前編)



「だって未央、
勝負下着なんて持ってないでしょ?」



「あ、当たり前でしょ!?」



「ほらあ。だからさ、買いに行こう?
獅堂先輩喜ぶと思うよ~?」



そう言いながら
楓ちゃんがにやにやしていると、



Plululu~♪



あたしの携帯が鳴った。



「買いに行こう!」という顔で
あたしを見つめてくる2人に
必死に顔を振って否定しながら
携帯を開く。



「もしもし」



『あ、もしもし?堀河だけど』



「あ、はい。なんですか?」



『さっきレッスン室の掃除してたらさ、
見たことない楽譜が
ソファーの下に落ちてたんだけど、
未央ちゃんのじゃないかなって思って』



「楽譜?」



『ほら、彼氏くんの為に作ってた曲の』



堀河さんの言葉に
慌ててファイルを開いた。



あ…最後の一枚が無い。



「それ、たぶんあたしのです」



『やっぱり未央ちゃんのか。
でさあ、届けてあげたいんだけど
今手が離せなくて…
良かったら後で届けようか?』