君に染まる(前編)



「んなの休め」



「それが、
今日で今弾いてる曲
終わらせなきゃいけなくて」



「明日にしてもらえ」



「あ、明日は担当の先生がいなくて…」



「嘘つくなよ」



「え?」



「お前、嘘つく時俺から目そらしてる」



「あ…」



「そんなに嫌かよ、俺とするの」



「そんなんじゃ…」



「心の準備するとか言ってたけど、
どうせまだなんだろ?」



いつにもなく鋭い視線に
たじろぎながらも必死に顔を振る。



「じゃあ、なんでそんなに嫌がんだよ」



「それは…」



ダメだ…
このまま言い合ってても
誤解されちゃうだけ…。



「あ…明日!」



「あ?」



「明日なら、だ、大丈夫です」