良かった…もう怒ってないみたい…。
「あ…でもどうして学校に?
帰ってきたばかりで
疲れてるんじゃないですか?」
「どうしてって…
お前を迎えに来たんだよ」
「…迎え?」
意味が分からずそう聞き返すと、
先輩はあたしの首に腕を回して
おでことおでこをくっつけた。
「俺は、待ったからな」
「え…」
「もう待てねえから」
その言葉に、至近距離の真剣な瞳に、
心臓がどくんと鼓動する。
それと同時に、
周りからの痛い視線に気付いて
慌てて先輩から離れた。
「今日はあたし楓ちゃんと約束があって…
ね?楓ちゃ…」
って…あれ?
救いを求めて振り返った先に
楓ちゃんの姿がない。
「楓なら俺に頭下げてどっか行ったぞ」
「え!?」
そんな……どうしよう…。
「………今日はピアノのレッスンが」



