君に染まる(前編)



…というのも、夏休み最終日の夜。



日本を離れた先輩から初めて連絡がきた。



〔もう少しこっちにいる。
いつになるかはっきり決まってねぇけど、
なるべく早く帰る〕



一方的なメールではあったけど、
連絡してくれただけで嬉しかった。



日頃からマメに連絡するような
タイプではないけど、
さすがに夏休み中、
しかも海外にいるのに連絡がこないのは
すごく不安で…。



あの日拒んだことに怒ってる?とか…
離れて過ごすうちに
あたしに飽きちゃった?とか…。



帰国が延期したことに落ち込むよりも、
そんな心配が吹き飛んだことに
ホッとしてしまったんだ。



ううん…
はっきり言えば、
延期したことにもホッとしてる。



美紅先輩にのせられるわけじゃないけど…
………は、は、初エッチは…
先輩の誕生日に捧げたいって思うから…。



だから、会えないのは寂しいけど、
先輩が帰国してから
もしそんな雰囲気になっても
誕生日まで拒み続けられる自信は無いし…
拒んだ時にまた怒らせちゃったら
どうしようって思ってたから、
延期して良かったと思う。



だけど…先輩の誕生日明日なんだよね…。



カバンからスケジュール帳を取り出し
9月のカレンダーを眺める。



心の準備…覚悟が出来てても…
誕生日が過ぎちゃったら意味無いよ…。



そう思いながら
下駄箱にもたれてため息をついていると、