「ほ、堀河さん…」
からかうように笑う堀河さんに
あたしは肩をすくめた。
「冗談だよ。
吏雄に言ったりしないから安心して。
それより、困ってること無い?
作曲で分かんないこととかあったら
手伝うよ?」
「いいですよ、申し訳ないですし」
「でも未央ちゃん、
1人で作曲したの1回だけでしょ?
ピアノの腕は負けるけど
作曲では吏雄より俺の方が…」
「いや、そういう問題じゃなくて…
せっかくプレゼントするんだから
自分の力だけで完成させたいなって…」
あたしの言葉を聞くと
堀河さんはハッとした。
「あ…そっか、そうだよね…
余計なこと言ってごめん」
「いえ、気持ちだけでも嬉しいです」
「あ、でも、
質問とかあったら本当になんでも言って?
なんっでも協力するから。
未央ちゃんの恋、応援したいし」
「あ…ありがとうございます」
堀河さんの言葉に自然と笑みがこぼれた。
毎日ピアノに向かっていた
夏休みも終わり、
2学期に入って2週間。
学園内に獅堂先輩の姿はまだ無い。



