「創吾の"S"」



「…創吾?」



顔をあげたあたしに、
先輩が手を差し出してくる。



その手の中には、
あたしの胸元を飾っているものと同じ、
アルファベット付きの
十字架のネックレスがあった。



でも、文字はあたしのと違うみたい。



こっちのは…"M"?



あたしの"S"が創吾…
つまり、先輩の"S"ってことは…
こっちの"M"は…。



「未央の…"M"?」



「正解。ちなみにこれは俺のネックレス」



「先輩の、ですか?」



それって…おそろい?…獅堂先輩が?



「…なんか文句あんのか?」



少し照れながら睨んでくる先輩に、
あたしは小刻みに顔を振った。



「勘違いすんなよ?
俺はお前だけのつもりだったのに
畠山がどうしてもって言うから…」



「はたけやま?」



「俺の世話係みたいな奴だ。
そーいうことだから、
ペアにしたのは俺の意思じゃねえぞ」



「は、はぁ…」