「遊園地が初めてなんだから当たり前…
って、お前大丈夫か?涙目だぞ」



顔を覗きこむ先輩に小刻みに顔を振る。



それを見てふっと笑った先輩は、
急にあたしの後ろを指差した。



「見てみろよ」



「…え?」



見てみろって…何を?



不思議に思いながらも、
先輩にしがみついたまま
ゆっくりと後ろを振り向いた。



あ…。



振り向いたあたしの目に映ったもの。



遊園地と面する海を照らす夕日。



まだ水平線に隠れていない夕日は、
周りの建物、
そして、この遊園地さえも包み込む。



「きれい…」



街全体がオレンジ色に染まってる。



いつもと同じ夕日なのに、
高いとこから見るだけで
こんなにも変わるものなんだ…。



「怖いか?」



目の前の景色に
釘付けになっていたあたしは、
先輩の言葉に振り向いた。



「観覧車。まだ怖いか?」