そう言いながら
近くにあったベンチに座ると、
手を繋いだままあたしを見上げた。
「あ…えっと…正確にはお兄ちゃんが…」
「は?」
「厳しいのは厳しいんですけど…
親じゃなくて、お兄ちゃん、なんです…」
そう…
あたしがこんなに焦らなきゃいけないのは
全部お兄ちゃんのせい。
「お兄ちゃん、
昔からすごいシスコンなんです…」
「それで、
大事な妹がデートするって知って
こんな時間に帰って来いって?」
「あ、いや…
デートのことは話してません」
そう言うと、先輩は顔をしかめた。
「…言ってねぇのか?」
「はい…話したらたぶん、
デートをぶち壊すと思うんで…」
「はっ…ずいぶん逞しいアニキだな」
そう言った先輩は、
繋いでいた手を離して顔をそむけた。
「で?デートって知らねぇなら
なんで門限厳しいんだ?
それともいつもこれくらいなのかよ」
「いつもは門限なんて無いんですけど…
昨日いろいろあって…」
「なんだよ、いろいろって」



