そんなあたしの焦りは
無意識に手に力を込めていて、
「そーいえば夜はパレードも………
どうかしたか未央?」
手を強く握られたことで
あたしの様子に気付いた先輩は、
必死に携帯を見つめていたあたしの顔を
不思議そうに覗きこむ。
「なんだ?まだ気分悪いのかよ」
「あ……いや…な、なんでもないです…」
「なんでもないって顔じゃねぇぞ、言え」
う…。
真っ直ぐ見つめてくる先輩の目に
嘘はつけそうにない。
あたしは観念して口を開いた。
「…………門限が」
「門限?」
小さくうなずくあたしに
先輩は鼻で笑った。
「はっ…小学生ならともかく、
こんな時間に帰る高校生が
どこにいんだよ」
「ここにいるんです…」
「…まじで言ってんの?」
「……はぃ」
「何?
お前ん家ってそんなに厳しいのかよ?」



