君に染まる(前編)



なんだかんだで先輩も疲れてたのかな…
しばらく寝かせてあげよう。



あたしは先輩を起こさないよう
正面に体を向きなおした。



遊ぶだけ遊んでころっと寝ちゃうなんて
子供みたい…。



子供みたいで…
普段の先輩からは想像出来ない。



けど…こんな先輩も悪くないかも…。










「…お……未央…」



ぼんやりと聞こえる先輩の声。



「…き…未央……未央起きろ」



次第にはっきりと聞こえてきた声に
ゆっくりとまぶたを開いた。



「…目ぇ覚めたか?」



「……先輩?…あの…あたし………」



「悪い、俺が先に寝ちまったみたいで」



先輩にもたれかかっていたあたしは、
目をこすりながら姿勢を正した。



そっか…あたし、あのまま寝ちゃって…。



ぼーっとする頭で思い出しながら
窓の外に視線をうつした。



「え…せ、先輩!今何時ですか!?」