君に染まる(前編)



先輩は年上な分、
あたしよりずっと大人だと思ってた。



けど、学校では見たことの無い一面…
初めて見た一面。



「先輩の子供っぽいところが見れて
なんだか嬉しいです。
それに、ちょっと得した気分…」



「なんだそれ?
んなこと言われたって嬉しくねぇよ」



「先輩は嬉しくなくていいんです」



「そーいう問題じゃ……
あーもういい、わけ分かんねぇ」



大きなため息をついた先輩は、
あたしの肩を引き寄せた。



「つーか、さあ…あれだ…その…
自分勝手にお前を連れ回して悪かった…」



「え?」



急に話が変わり、
ぽかーんと口をあける。



「今思えば、
俺の乗りたいものばっかで
お前は楽しめてたのかなって…」



「あたしは別に…」



「もう1つ」



そう言うと、
肩を掴んでいた先輩の手が
あたしの頭に触れた。



「少しアトラクションに
はまったからって、
お前の体調に気付けなくて…悪かった」



優しい声。