君に染まる(前編)



え?



「い、今なんて?」



「だから…
『緊張するならとりあえず
アトラクションとか乗りまくってれば?』
って優に言われたから、
そうしてたんだよ…」



「じゃあ、
休憩もせずに乗りまくってたのって
緊張してたからなんですか?」



驚きながら先輩の顔を覗きこむと、
少し照れながら顔をそらされた。



「緊張してちゃ悪いかよ…」



「わ、悪いとかじゃなくて…
アトラクションが楽しくて
乗りまくってるのかな?
…って思ってたんで」



「いや…でも…それも間違いじゃ…」



「え?」



「べ、別に、
夢中になってたわけじゃねぇぞ?
遊園地なんて初めてだったから
珍しかっただけだ」



何も言っていないのに妙に焦る先輩。



そんな先輩に、少し口元がほころぶ。



「…夢中に…なってたんですね」



「なんだその笑い。バカにしてんだろ」



「し、してませんよ!ただ、嬉しくて…」



「あ?嬉しい?」



聞き返す先輩の言葉に小さくうなずいた。