「なんだよその言い方」
「だって…あたしと違って先輩は、
こういうことに慣れてるイメージが…」
「そりゃ慣れてるけど、
こんなまともなデートは慣れてねぇ…
つーか、デート自体したことねぇよ」
「え、そうなんですか!?」
驚いて思わず声をあげると睨まれた。
「だ、だって、
先輩がデートしたこと無いなんて…」
「お前…
俺のことどんな奴だと思ってんだよ」
「どんなって…」
女性慣れしてて…
関係を持った女性は
数えきれないほどいて…
って、こんなこと言えるわけないか…。
口を噤んでいると、
ため息をつきながら体を起こした先輩。
「…女と会う時はいつも、
ホテルかVIPルームって呼ばれてる
あの部屋ぐらいだったから」
ホテル…。
その言葉に反応してしまうあたし。
そんなあたしに気付くはずもなく、
先輩は続ける。
「だから、
美紅以外の女と出かけるなんて初めてだ。
まあ、出かけたって言っても、
優や卓がいつも一緒だったから
2人っきりは未央が初めてで…
だから、優に言われた通り
とりあえず乗りまくって…」



