「なんだ、未央か」



優先輩だった。



「危ないよ?階段でぶつかってきたら」



「すみません、考え事してて…
大丈夫ですか?」



「大丈夫。
ってか、なにしてんの?こんな時間に」



「あ、ジュースを買いに…」



階段から見える自動販売機を指さした。



「ふーん?偶然だね。
俺も飲み物買おうと思ってたんだ」



「Ⅲ類の人でも自販とか使うんですか?」



驚いて思わずそう聞くと、



「未央はⅢ類の生徒を
神様かなにかとでも思ってるの?」



くすくすと笑い出した先輩。



「そりゃ、Ⅲ類は金持ちの集まりだし、
変にプライド高い奴は多いけど、
みんながみんな
そういう奴ってわけじゃないよ。
俺みたいに
Ⅰ類寄りの人間だっているし」



「あ…そうですよね」



階段を下りて
自販機に向かう先輩についていく。



「っていうか…
未央でも授業さぼったりするんだね?」



先輩が小銭を入れた自販の隣の自販に、
同じように小銭を入れながら
首をかしげた。