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部屋に鳴り響く携帯のアラームで目が覚めた。
窓から差しこむ朝日は気持ちいいのに、私の気持ちは沈んでる。
…学校…行きたくないな。
そっと唇に触れる。
「…ファーストキス…だったのにな」
好きでもない、あんな人と…。
昨日のことを思いだすと悲しくなってしまい、どうしても起きる気になれず布団を頭からかぶった。
バンッ
部屋のドアが勢いよく開く音。
それと同時に布団をはぎ取られ、お兄ちゃんが耳元で思いっきり叫ぶ。
「未央!!!朝だぞ!遅刻するぞ!!」
「…行きたくない」
うつぶせのままそう言う私の言葉に過剰に反応する。
「なに!?どうした!?いじめられてるのか!?何か嫌なことでもあったのか!?」
黙って首を振った。
「じゃあなんだ!?」
お兄ちゃんに言えるわけがない。
そのまま黙っていると、お兄ちゃんは持っていた布団をあたしにかぶせた。
「兄ちゃんがなんとかしてやる」
「ちょっ…何する気!?」
慌てて布団を飛び出し、部屋から出ようとしたお兄ちゃんの腕を掴んだ。
「俺の可愛い未央にひどいことした奴をぶん殴ってやる!」
「ひどいことされたなんて一言も言ってないでしょ!?」
「じゃあなんで学校行きたくないんだ?嫌なことがあったからだろ!?」
迫るお兄ちゃんにとうとう根負け。
「…分かった。学校行くから、落ち着いて?」
興奮するお兄ちゃんをなだめ、ため息をつきながら支度をした。
私のお兄ちゃん・百瀬吏雄は、極度のシスコンだ。



