「さっきの見た!?」
『見た見た!!』
「ばり目付き悪いやん」
『まぢそれな~』

そう。さっき通って行った時
じろじろ見てきた男の中で
特に目立っていた人がいた。
みんな制服だったのに
その人だけは私服で
ジャージに手を突っ込んで
他の男子よりも
私達の近くを歩き
なんだこの野郎。
的な目付きでこちらを
じろじろ見ながら歩いていた。

「ガラ悪過ぎやろ~」
『だってN中やし(笑)』
「まあなあ(笑)」

私達の地元は
暴走族やヤンキーが
大勢いるような賑やかな
街ではないが
まあまあヤンキー的な
感じの若者は多い方だと思う。
私達の住むN区には
私達が通うY中。
西側にN中。東側にはT中。
少し離れた所にU中がある。
基本他中とはあまり
ベタベタ交遊関係は
結んでいなかった為
N中の事もそんなに
興味はなかった。
…が、さっき挙げた
4中の中で一番
ヤンキーが多いのは
N中である事だけは
わかっていた。